院長コラム

2019年07月

手根管症候群について

手のしびれを生じる疾患として手根管症候群があります。この疾患は手首にある手根管というトンネル内で正中神経が圧迫されることにより生じます。妊娠・出産期や更年期の女性に生じることが多く、原因不明であることが多い疾患です。骨折などのけが、仕事やスポーツなどでの手の使い過ぎ、透析をされている方にも生じることがあります。

症状としては、親指から薬指にかけてのしびれがあり、特に夜間や早朝に強い痺れを生じます。病状が進むと親指の付け根の筋肉が痩せてきて、ボタンをかける、つまむなどの指先の細かい動作ができなくなってきます。

初期の治療としては、消炎鎮痛薬やビタミンB12の内服、外用薬の使用、装具による固定、手根管内注射などがありますが、効果がなく症状が進むと手術が必要となります。手術には、手掌の皮膚を切開する方法と手首に1cm程の切開を入れ関節鏡を使用して手根管を開放する方法があります。関節鏡を使用する方法は、術創も小さく、仕事への復帰も早いという報告もあります。

手根管症候群は治療が遅れると回復も遅く、痺れや手の運動障害が残ることもあります。かなり病状が進んだ状態(正中神経麻痺の状態)で受診される方も多いため、手根管症候群が疑われた場合は、早期に専門の医師への受診をお勧めします。

院長コラム一覧へ戻る