院長コラム

2020年01月

手の病気と女性ホルモンについて

手の病気である腱鞘炎やドケルバン病、変形性関節症(へバーデン結節やブシャール結節、母指CM関節症)、手根管症候群などは、使い過ぎや加齢のせいと言われてきました。しかし最近では、女性ホルモンであるエストロゲンがこれらの症状に関与していることがわかっています。40歳以降の更年期に体内のエストロゲンが減ることにより手指の関節や腱の周囲の滑膜という組織に炎症が起き、これらの病気の引き金となっているのではないかと言われています。また最近、エクオールのサプリメントの摂取が更年期の女性の手の痛みや腫れに有効であったという報告が散見されます。エクオールは、大豆イソフラボンの腸内細菌による代謝物であり、エストロゲン様作用を有します。ただし、エクオールをつくれる人の割合は、日本人で約50~60%、食習慣の影響で若年層だと女性で約20%と言われています。

エクオールの摂取は、すべての方に効果があるわけではありませんがこれら手の病気の治療と予防の方法として期待ができます。エクオールで効果が十分でない場合は、薬物治療や注射療法、手術療法が必要となる場合もあります。手の痛みや腫れのある時は、一度手の治療を行っている病院への受診をお勧めします。

院長コラム一覧へ戻る