院長コラム

2022年01月

たかがばね指、されどばね指

ばね指とは、何らかの原因で指を曲げる腱(けん)と腱鞘(けんしょう=腱の通るトンネル)の間で炎症が起き、腱鞘炎となりそれが進行して腱と腱鞘が腫れ、腱の通りが悪くなり指の屈伸で引っ掛かりと痛みを生じるようになった状態です。痛みが強ければ病院を受診される方も多いのですが、中には指が引っ掛かるだけで痛くないからと、治療を受けられていない方も多くいらっしゃいます。

しかし、ばね指を治療しないで放っておくと、さまざまな不都合が生じることがあります。指が完全に屈伸できなくなり、関節自体が痛むようになります。このまま放置すると、一般的な手術(腱鞘切開術)では、指の動きや痛みが十分に治らないこともあります。また、指はお互いが協力し合って動くので、1本だけのばね指でも、隣の指にも影響が出て握り込みができなくなり、握力が落ちるということも起きてきます。慢性化したばね指が、指の第2関節(PIP関節)の変形性関節症(ブシャール結節)の原因の一つとなりうるという報告もあります。指の引っ掛かりがあるときは、早めに手の治療を行っている病院を受診し、しっかりと治療を受け、後々困らないようにしましょう。

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