院長コラム

2025年07月

腰部脊柱管狭窄症について

脊柱管とは背骨や椎間板、関節、靭帯などで囲まれた脊髄とその栄養血管の通り道のことをいいます。その脊柱管が変形などによって狭くなり、中にある神経や栄養血管が圧迫されることで症状を引き起こします。これが腰部で起こる場合に腰部脊柱管狭窄症といいます。多くは加齢による腰椎の変性が主因であり、60歳以上の方に好発します。

特徴的な症状は、間欠跛行と下肢の神経症状です。脊柱管は腰椎が伸展すると狭くなり、腰椎が屈曲すると開きます。歩行中はこの現象が繰り返されるため徐々に下肢の痛みやしびれ、脱力感から歩きづらくなりますが、前かがみ姿勢や座ることで腰椎が屈曲し症状が和らぎます。これが間欠跛行であり、自転車や買い物カートなどを使用すると症状が軽いのはこのためです。また、神経症状には肛門周囲のしびれや排尿障害もあり注意が必要です。

リハビリテーションではこの特徴を踏まえ、腰椎の過度な前弯を減少させるべくその原因を探り、体幹や股関節周囲の硬さを改善することや、筋力強化を行います。

一方で、下肢の動脈硬化などが原因で間欠破行が見られる場合もあり鑑別が必要です。適切な治療が行えるよう早めに医療機関を受診することをお勧めします。

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